大発生

絶対あり得ないけど、絶対に面白い

【あらすじ】
ある島で緊急事態が起きました。これまでこの島には中村さんは一人もいなかったのにも関わらず、ある時から突然中村さんが大量に発生し、海で群れをなして泳いだり、勝手に人の家に入り込んで冷蔵庫を開けたり、あまつさえ中村さん同士が交尾を行ったりしているとのこと。このままでは島の生態系が壊れてしまうと島民は知事に訴えます。さて、中村さんだらけになってしまったこの島の運命は……。

【聴きどころ】
ある地域に大発生してそこに住む住民を困らせるのは、たいがい害虫・害獣のたぐいと決まっています。それを虫や獣ではなく人間の「中村さん」に変えてしまうと、いきなり丈二師匠ならではのシュールな世界が飛び出してきます。そして、そんな無茶苦茶な設定の噺を丈二師の語り口で語られると、これほど不条理な噺が妙にリアルに思えてくるから不思議です。絶対にあり得ないけれども、絶対に面白いという噺です。

【もうひと言】
落語の楽しみの一つに「枕」があります。『大発生』での枕で聞き物は、何と言っても刑事が容疑者を取り調べする時のカツ丼の話。よくテレビドラマなどで、取り調べの最中に刑事が容疑者にカツ丼を奢ってやるシーンが出て来ますが、あれは現実にはあり得ないことなのだそうです。では、どうしてあれはあり得ないことなのか？　答を知りたい方は丈二師の肉声でお聞き下さい。

[収録：2008年4月27日　「無限落語の会」（東京・お江戸日本橋亭）]

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