子は鎹（かすがい）（子別れ）

子どもは何歳になっても子ども

【あらすじ】
酒が元で夫婦別れをしてしまった大工の熊さんは、今は心を入れ替え酒も断って仕事一筋に生きています。ところがそうなると気になるのが、別れた女房が連れて行った息子のこと。今がちょうど可愛い盛りだろうなどと、出入りのお店の番頭さんと語らって歩いていると、偶然その息子に再会しました。嬉しくてたまらない熊さんは息子に小遣いを与え、明日一緒に鰻を食べに行く約束をします。熊さんとしては今さらかつての女房に会わせる顔もないという気もあって、「このことはおっ母さんには内証だぞ」と息子に釘を刺したものの、結局息子は母親に今日熊さんと会ったことを喋ってしまいます。翌日、母親は父親に会いに行く息子を送り出したものの、どうにも気が落ち着かず、とうとう二人が待ち合わせしているうなぎ屋へと出かけて行き……。

【聴きどころ】
「子供が聞いて分かる噺」という落語会での円窓師匠の口演です。『子は鎹』というこの噺を知っている人は、そういうテーマの落語会で敢えてこのネタをかけた円窓師のチャレンジ精神に驚かれることでしょう。そして円窓師はその難題を見事にクリアしています。

【もうひと言】
円窓師に言わせると「親から見ると、子どもは(いつまで経っても)子ども」なのだそうです。誰もが認める真理ではありますが、この言葉に絡めた円窓師の現実のエピソードを枕で聞かされると、ついほろりとなってしまいます。

[収録：2008年5月9日　あうるすぽっと（東京・東池袋）]

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