ちりとてちん

美味しいものを食べると日記につけたくなる

【あらすじ】
ある旦那が近所の知り合いに御馳走を振る舞っていると、そこへ女中がやって来て、先日買った豆腐が腐ってしまったと告げました。そんなものはとって置いても仕方がないので捨ててしまいなさい、と言いかけたところで旦那はある悪戯を思いつきます。近所に住む寅さんは何でも知ったかぶりをする人で、いつかそのことで懲らしめてやろうと思っていたのですが、この豆腐を遠方から頂いた珍味だと偽って食べさせてしまおうというのです。そこで早速女中に言いつけて寅さんを呼びにやり……。

【聴きどころ】
鯉昇師の演じる噺はどの噺でも細部にまで鯉昇師らしさが漂っています。立て続けに美味しいものを食べさせて貰って喜んでいる男が思わず「今日は日記に書き切れませんな」と呟くところなど、ちょっと他の噺家には思いつかない台詞でしょう。他にも鯉昇師ならではのくすぐりの満載された一席です。

【もうひと言】
「ちりとてちん」と同工異曲の噺に「酢豆腐」があります。どちらも腐った豆腐を珍味に見せかけて、知ったかぶりをする人に食べさせてしまうというところは同じですが、その豆腐を食べるのが「酢豆腐」では通人、「ちりとてちん」では知ったかぶりの男になっています。ですから、当然腐った豆腐を食べさせる工夫も違ってきます。「酢豆腐」を聞いたことがある人なら、この「ちりとてちん」はさらに楽しんで聞けるでしょうし、まだ聞いたことがない人は「ちりとてちん」を聞いた後にぜひ「酢豆腐」を聞いてみて下さい。ラジオデイズでは古今亭菊之丞師口演の「酢豆腐」を配信しています。

[収録：2009年5月7日　横浜にぎわい座（横浜市中区）]

《携帯電話・スマートフォン（iPhone、Xperia等）、通信機能内蔵タブレット（iPad、GALAPAGOS等）、通信機能内蔵音楽プレーヤー（iPodTouch等）等へは「ダウンロード及び保存」はできません。お手数ですがパソコンでダウンロード後、お手持ちのデバイスへ同期頂き、お楽しみください。》