渡辺祐真／スケザネの「現代文学」から考える「世界」と「言葉」～作品の読み方から感想の書き方まで～　第七回（セット）

大江健三郎の小説論を読む

書評家・スケザネさんによる書評講座！
著書『物語のカギ』（笠間書院、2022年）では「物語」を読む楽しみ、そのためのキーワードを幅広い層に向けて書き、現在、毎日新聞文芸時評やTBSラジオ「こねくと」のレギュラーも担当されているスケザネさん。
この講座では、今まさに生まれている小説や詩歌を毎回一つ取り上げ、スケザネさんによる丁寧な読解の提示、またその作品の感想を書く、相手に伝えるときのカギを教えていただきます！
第七回目では大江健三郎による小説論にフォーカスを当て、小説を読むとは、小説を書くとは、どういうことなのかを考えていきます。

　=講師・スケザネさんからのコメント=
　戦後の新しい世代として現代文学を牽引し続け、 ノーベル文学賞を受賞し、 原発や政治などについて鋭い発信を続けた稀代の作家・ 大江健三郎。今年、惜しまれつつもこの世を去りました。
　そんな大江の作品はときに難解であるとも指摘されますが、 彼ほど、小説という芸術形態に対して自覚的で、 その仕掛けや狙いについて言語化した作家は珍しいと言っていいで しょう。
　その小説論は、 小説という形態が持つ美しさと難渋さとかけがえのなさとを解き明 かし、読み手にも書き手にも役立つよう配慮されています。 よって、大江作品のヒントになることはもちろん、良い読み手・ 良い書き手になるヒントが満載です。
　そこで今回の講座では、大江の小説論を読みます。
　大江健三郎が未読の方でも全く問題ありません。
　大江が鋭く語る言葉を読み解き、小説とは何かを考えましょう。

・大江健三郎作品の読みにくさ、分かりにくさ
・『新しい文学のために』を読むと、大江が自作の難解さを自覚していたことが分かる
・大江は同じテーマについて二作品で違う書き方をすることが多い
・世界をよりよく見るために、いかに言葉・文学を多層的に読み・書くか
・「言葉は、かたちをそなえている」とはどういうことか
・文学を文学たらしめるのは「異化」である
・文学の力強さはその人なりの想像力によって抽象的・未来的に書くことができること
・創作者と受容者の極端な分離に危機感を持っていた大江
・「文学を読む効能」、「活性化される」とはどのようなことか
・文学により普遍性を持たせる方法とは

などなど。
ぜひお聞きください！

【参考文献】
・大江健三郎『新しい文学のために』（岩波新書、1988）
・渡辺祐真／スケザネ「読み読まれ、書き書かれる主体─大江健三郎に入門するために 
渡辺祐真」（「世界」2023年11月号、岩波書店）

※ 本音源は2023年10月14日に収録したものを編集しております。
※付属のPDFは音源と併せてご覧ください。

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