渡辺祐真／スケザネの「現代文学」から考える「世界」と「言葉」～作品の読み方から感想の書き方まで～　第八回（セット）

日本近代批評史を辿る〜小林秀雄と吉田健一を中心に〜

書評家・スケザネさんによる書評講座！
著書『物語のカギ』（笠間書院、2022年）では「物語」を読む楽しみ、そのためのキーワードを幅広い層に向けて書き、現在、毎日新聞文芸時評やTBSラジオ「こねくと」のレギュラーも担当されているスケザネさん。
この講座では、今まさに生まれている小説や詩歌を毎回一つ取り上げ、スケザネさんによる丁寧な読解の提示、またその作品の感想を書く、相手に伝えるときのカギを教えていただきます！
第八回目では小林秀雄と吉田健一、二人の関係から日本近代批評史について考えていきます。

=講師・スケザネさんからのコメント=
日本の批評を振り返るにあたって、良きにつけ悪きにつけ外すことのできない存在が小林秀雄です。
そんな小林が若い頃に、見込みがないと評したのが、吉田健一でした。
吉田はイギリス留学帰りで、のちに小説家、英文学者、 翻訳者、随筆家などマルチに活躍する文士です。
いったいなぜ小林は吉田を否定したのか。 一方の吉田はどのような道筋を辿ったのか。
接点の少なそうに見える二人ですが、 彼らを通すことで日本の近代批評のある側面が浮かび上がります。
近代文学、近代批評、小林秀雄や吉田健一などにご関心のある方はぜひお聞きください。

・『吉田健一に就いて』（国書刊行会）で小林秀雄と吉田健一について書くことに
・近代が背負った問題、批評が辿って来た道筋やこぼして来たもの
・西洋に追いつき追い越すことが問題となった明治時代
・江戸時代から明治時代へジェンダー規範の再建が行われる
・西洋思想の広まりと性急な近代化による軋みへの危惧
・小説のなかに批評を取り込んだ作品が登場する
・弱者を排しながら「文壇」的なものがあらわれる
・思想弾圧に対して生まれる女性批評活動
・関東大震災を契機に日本は「不安の時代」へ
・芥川の言う「人工の翼」とは何だったのか
・時代のカウンターとしての小林秀雄（『様々なる意匠』）の登場
・小林秀雄の登場に対する吉田健一の登場
・没交渉のように見える小林・吉田の戦中と戦後、その交差
・『小林秀雄文庫』（中央公論社）で吉田健一が解説を担当する
・戦後批評から現れる女性批評家

などなど。
ぜひお聞きください！

【参考文献】
・『吉田健一に就て』（川本直／樫原辰郎／武田将明 編、国書刊行会、2023年）

※ 本音源は2023年11月11日に収録したものを編集しております。
※付属のPDFは音源と併せてご覧ください。

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