裕次郎物語

ナンセンス爆笑王の代表作　（落語随談付き）

【あらすじ】
往年の大スター石原裕次郎へのリスペクトを、私生活からギャランティに至るまで、桃太郎師自身と比べて語るナンセンス噺。慶応高校時代、裕次郎の行きつけの店は赤坂のニューラテンクォーターという高級ナイトクラブだったそうですが、師は農協の前のペコちゃん食堂でした。兄弟の会話も違っていたようです。石原兄弟は「兄貴、海でも行こうか。どうだい、この海の青さ…」、桃太郎兄弟は「兄貴、畑でも行こうか。どうだい、この麦の青さ…」。比較にならない比較話も、最後はお葬式の場面でサゲになりますが、その間、吉永小百合、浅丘ルリ子、松原智恵子ら同じ日活の女優たちを題材にした小噺も登場します。

【聴きどころ】
まくらから爆笑の連続です。とくに、裕次郎は子供のころから海で泳いでいたが桃太郎師は池で泳ぎ、毎年夏休みが終わるとクラスにひとつふたつ机に花が飾ってあったとか、松原智恵子がラーメン屋に入るのを目撃したとか、内容はブラックがかっているのですが、師が語るとあっけらかんとした陽気な笑いに誘われます。

【もうひと言】
落語協会と桃太郎師の所属する落語芸術協会との関係や、弟弟子春風亭昇太師のところに入門した東大出の昇吉のことなどがまくらで語られるのですが、立川志の輔師と昇太師が大の親友であることをはじめ、噺家か業界人しか知らないような情報が何気なく披露されているのもうれしいポイント。


〔収録：2007年6月28日　東京・お江戸日本橋亭〕

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