五目講釈

聞きかじり若旦那の八方破れ大講釈！　（落語随談付き）

【あらすじ】
道楽が過ぎたあげく、勘当されて親方のところに居候している生薬（きぐすり）屋の若旦那に親方が意見します。どこかで働きなさい。すると若旦那は講釈師になると言い出します。人の前で芸を披露したいという若旦那のために、親方は長屋の連中を集めます。いっぱしの講釈師になったつもりの若旦那は「赤穂義士伝」の抜き読み「……さてもその世は極月一四日……」と始めます。りっぱな読みぶりですが、しだいに話は迷走を始めてなぜか四十七士の中に「安倍晋三」「バンソコ貼ってる赤城大臣」「世渡り上手の小池百合子」がでてきます。……はては桜田門外の井伊直弼、死んだと思ったお富さん、壇ノ浦合戦の那須与一、鉄腕アトムにドラえもん、フーテンの寅、「命惜しむな名を惜しめ」オシム監督……次々に登場して長屋の連中と場内を煙に巻きます。

【聴きどころ】
講談をテーマにした噺は「くしゃみ講釈」などほかにもあります。江戸落語はどちらかというと、ぞろっぺえな口語の柔らかさを生かした口調が中心ですが、この噺は講談の畳み込むような漢文口調とのコントラストがなんともおかしいものです。

【もうひと言】
講談好きだという三三師匠、実際に講釈師に習っているそうです。講談の素養がないととてもできないでしょう。「船徳」と「寝床」がごっちゃになったようなあまり聞く機会がない噺ですが、三三師匠はたびたび高座に掛けるようですし、上方では「居候講釈」などの演題で演じられることもあるようです。

〔収録：2007年8月10日　東京・Again〕

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