古典落語
たがや
価格:¥733
江戸っ子の啖呵の切り方
【あらすじ】
両国の川開き、両岸はもとより橋の上まで立錐の余地のない人ごみ。仕事を終えて一杯引っ掛けた箍屋(たがや)と馬に乗った侍が橋の上で鉢合わせ、「寄れ、寄れいッ」といわれて道を譲ろうにも箍屋は大きな荷物が邪魔で動けない。しびれを切らした侍が箍屋の胸をドーンと突くと、そのはずみで止めが外れてスルスルッと延びた商売用の箍が馬上の侍の笠を弾き飛ばしてしまった。残ったのはあご紐だけ。箍屋は謝って勘弁してもらおうとするが、侍も野次馬に囃されて後に引けない、切り捨てると言われて箍屋はついに「この丸太ん棒!」と啖呵を切った……。
【聴きどころ】
今も変わらぬ風情を感じる夏の定番。長屋のご隠居さんや与太郎、熊さん、八五郎のとぼけた味わいとは違う職人の威勢のよい啖呵は、江戸っ子気質の三木助の独擅場と言ってもいいでしょう。箍屋だけでなく野次馬が侍に浴びせる悪口雑言もお楽しみください。啖呵の切れ味を鋭く見せているのは、自分の暮らしぶりを訴え平身低頭謝り続けた後、土壇場で一気に流れを変える演出で、噺のなかの野次馬も高座の客もここで溜飲を下げることになります。
【もうひとこと】
三木助は屈折した芸暦の持ち主で、ばくちに凝って「隼の七」とあだ名されるほどの暮らしをしたことがありますが、切れのよい江戸弁の迫力はその片鱗かもしれません。
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プロフィール
三代目桂三木助
1919年に春風亭柏枝(6代柳橋)に入門。関東大震災で大阪に逃れ、2代目桂三木助門下に転ずるが、27年に柳橋一門に復し、春風亭柳昇の名で真打。50年に3代目桂三木助を襲名。NHKラジオ「とんち教室」のレギュラーで人気を得た。粋でいなせな江戸前を体現するような芸風で、「芝浜」「三井の大黒」「火事息子」「ざこ八」「時そば」などを得意とした。若いときは放浪や賭場通いを繰り返す、荒れた生活を送ったが、結婚で心機一転、芸に精進していったといわれ、その心情は「芝浜」にも映されているという。
本名・小林七郎、1902年、東京生まれ。1961年没、享年58。
このアーティストの作品(全3件)
試聴 | タイトル | 出演者名 | 価格 |
---|---|---|---|
たがや |
三代目桂三木助 | ¥733 | |
三井の大黒 |
三代目桂三木助 | ¥733 | |
芝浜 |
三代目桂三木助 | ¥733 |
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