対話放談 趣味/癒し系 噺家トーク
立川談笑の
落語研究室 第7回〈花見〉
価格:¥367
談笑師は花見が大好きです
立川流という落語会のインディーズにあって、個性と研鑽を競うなかでも、いまや立川流四天王と称される、立川談笑。
ときに、その思いきった古典改作の手法には目を剥くご通家もあるかもしれません。
それでも、そんなボーダーを往還する噺をつくりあげるためには、愛して止まない落語にたいする周到な研究があるはずです。
もちろん、談笑師匠が声高にそんなことを語ることはありません。
いつもチャーミングな高座がわたしたちの前にあるだけです。
「落語研究室」では、そんな談笑師の魅力的な落語の秘密に迫りながら、毎回楽しいおしゃべりが繰り広げられます。
研究員は、談笑師のほかに、年間350回も落語会に足を運ぶという聴き巧者の広瀬和生さんと、三味線の技量とユニークな個性で落語会にひっぱりだこの寄席囃子方の恩田えりさん。
広瀬さんの的を射て軽快な問題提議で、談笑師が大いに語ります。
※毎回締め括りは、えりさんの演奏で名人の出囃子をお楽しみください。
さて、第7回の研究テーマは、花見。
「お花見ってのはドラッグパーティでしょ」のっけから談笑師らしい発言が飛び出します。
花の下には人をハイにする何かの物質が出ているって、ほんとでしょうか?
たしかに、落語の中の花見シーンでは、やたらな馬鹿騒ぎが展開しますが。
花見の趣向で盛り上がるのが「花見の仇討ち」です。
この噺、サゲにつなげるために「六部」の仕込みをしなくちゃいけません。
噺家さんの腕の見せ所です。
誰が面白いか、あの師匠、この師匠……、勝負は五部?
そして、貧乏長屋に住む庶民のお花見を描いた「長屋の花見」。
薄めた番茶のお酒や、沢庵の蒲鉾、櫛形に切った大根の蒲鉾……。
「長屋じゅう 歯を食いしばる 花見かな」って笑えますが、
せっかくの花見を迷惑がる店子の料簡が嫌だなあ、と呟く談笑師。
こういう感覚や齟齬が、新しい談笑噺の源泉なんでしょう。
最後に、花見が贅沢な遊びだということを教えてくれる「百年目」。
前半はとても華やかで、後半は旦那の器の大きさにグッとくる良い噺です。
花見で旦那と鉢合わせした番頭が一人で苦しむところも圧巻。
この噺も、我らが談笑師は現代版に作り変えています。
番頭ならぬ楽○トラベルの社長は、ジェット機をチャーターして
ニューヨークのクラブで最高級のワインを開けて弾けます。
で、旦那ならぬグループ会社オーナーの三○谷社長にバッタリ!
というんだそうです。聴いてみたいでしょう?
さて花見といえば「百年目」の旦那がほんとうに素晴らしいということで、国宝・三代目桂米朝の出囃子「三下がり鞨鼓」を恩田えりさんの演奏で。
■「立川談笑の落語研究室」は、毎月第2・第4金曜日に配信されます。
第8回の研究テーマは「寝床」です、どうぞおたのしみに!
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立川談笑(たてかわだんしょう)
1965年、東京都江東区北砂出身。早稲田大学法学部卒業後、92年に立川談志に入門、談生を名乗る。96年、二つ目になり6代目立川談笑を襲名。2005年に真打昇進。06年、国立演芸場の6月上席で、83年の落語協会脱会以後、立川流としては初定席を勤めた。テレビやラジオのレポーターとしても活躍中。代表作といわれる『シャブ浜』など、古典の改作を得意とし、おなじみの定番もただでは済まされぬ爆笑ネタに。独演会は常に完売の人気者である。出囃子は『野球拳』。
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広瀬和生(ひろせかずお)
1960年生まれ、埼玉県所沢市出身。東京大学工学部都市工学科を卒業後、レコード会社勤務を経て、現在は月刊ヘヴィ・メタル専門誌「BURRN!」編集長。音楽雑誌の編集者/ライターとしての顔とは別に、年間1,500席以上の高座に接する30年来の落語ファンとして知られ、現在進行形の落語界の魅力をリアルタイムで追いかける落語評論の第一人者として活躍中。『この落語家を聴け!』(集英社文庫)、『この落語家をよろしく』(講談社)、『現代落語の基礎知識』(集英社)といった著書が話題となる他、現在は週刊ポスト誌上にて「噺家のはなし」連載中。最新刊に『落語評論はなぜ役に立たないのか』(光文社新書)がある。
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恩田えり(おんだえり)
1971年、東京都出身。日本大学法学部卒業。会社員経験後、国立劇場伝統芸能伝承者養成機関・寄席囃子コースにて学び(第11期卒)、現在は落語協会所属の寄席囃子奏者として活動中。都内五か所ある寄席の袖で寄席囃子を弾き、寄席芸人を裏方として支える。他にも、高座での「実録シリーズ」、単独寄席囃子講座、無声映画伴奏、ブラジルへの武者修行、春風亭百栄とユニットを組んでのM-1挑戦など、掟破りの行動派。趣味は、映画鑑賞、プロレス観戦、草野球など。
ブログ「恩田えりのよせばやし子の一日」: http://yosebayasi.exblog.jp/
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