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立川談笑の
落語研究室 第12回「紺屋高尾」
価格:¥367
男のロマン、究極の純愛ストーリー
立川流という落語会のインディーズにあって、個性と研鑽を競うなかでも、いまや立川流四天王と称される、立川談笑。
ときに、その思いきった古典改作の手法には目を剥くご通家もあるかもしれません。
それでも、そんなボーダーを往還する噺をつくりあげるためには、愛して止まない落語にたいする周到な研究があるはずです。
もちろん、談笑師匠が声高にそんなことを語ることはありません。
いつもチャーミングな高座がわたしたちの前にあるだけです。
「落語研究室」では、そんな談笑師の魅力的な落語の秘密に迫りながら、毎回楽しいおしゃべりが繰り広げられます。
研究員は、談笑師のほかに、年間350回も落語会に足を運ぶという聴き巧者の広瀬和生さんと、三味線の技量とユニークな個性で落語会にひっぱりだこの寄席囃子方の恩田えりさん。
広瀬さんの的を射て軽快な問題提議で、談笑師が大いに語ります。
※毎回締め括りは、えりさんの演奏で名人の出囃子をお楽しみください。
さて、第12回の研究テーマは人情噺の大ネタ「紺屋高尾」です。
紺染め職人が、大名道具といわれた吉原の高尾大夫に恋わずらい。
とても手の届かないはずの高嶺の花のはずでしたが……。
ここで、談笑研究員が浪曲を一節うなるのが聴きどころ。
もともと講釈ネタだったのを6代目圓生が工夫を凝らして作った噺。
最上級の花魁がなぜ職人風情に嫁いだのかが、この噺のハイライトです。
これを打算ではなく、純情物語に仕立てたのは家元だといいます。
高尾太夫が久蔵に心を寄せる瞬間の場面を描くには
説得力ある芸が必要になります。
さて、談笑版になると、ご存じ「ジーンズ屋ようこたん」です。
ジーンズ職人がグラビアアイドルようこたんに恋して結ばれる噺。
これ、家元に聞かれたらまた禁演になっちゃうかも?
さらにようこたんを高尾に戻した「紺屋高尾・改」もあります。
「惚れるときの転換点が見えるところが、さすが」と広瀬さん激賞。
「男の人が抱く夢物語なのかな」(えりさん)
「男の勝手なロマンていうか、バカだな男は」(広瀬さん)
「そう、ファンタジーなんだよね」(談笑師)
恩田えりさんのエンディングの三味線演奏は、6代目圓生の「紺屋高尾」を
純愛に昇華し、立川流のリスペクトを一身に集めるこの人、
家元・立川談志の出囃子「木賊狩り」で。
■「立川談笑の落語研究室」は、毎月第2・第4金曜日に配信されます。
第13回の研究テーマは〈幽霊〉です、どうぞおたのしみに!
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立川談笑(たてかわだんしょう)
1965年、東京都江東区北砂出身。早稲田大学法学部卒業後、92年に立川談志に入門、談生を名乗る。96年、二つ目になり6代目立川談笑を襲名。2005年に真打昇進。06年、国立演芸場の6月上席で、83年の落語協会脱会以後、立川流としては初定席を勤めた。テレビやラジオのレポーターとしても活躍中。代表作といわれる『シャブ浜』など、古典の改作を得意とし、おなじみの定番もただでは済まされぬ爆笑ネタに。独演会は常に完売の人気者である。出囃子は『野球拳』。
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広瀬和生(ひろせかずお)
1960年生まれ、埼玉県所沢市出身。東京大学工学部都市工学科を卒業後、レコード会社勤務を経て、現在は月刊ヘヴィ・メタル専門誌「BURRN!」編集長。音楽雑誌の編集者/ライターとしての顔とは別に、年間1,500席以上の高座に接する30年来の落語ファンとして知られ、現在進行形の落語界の魅力をリアルタイムで追いかける落語評論の第一人者として活躍中。『この落語家を聴け!』(集英社文庫)、『この落語家をよろしく』(講談社)、『現代落語の基礎知識』(集英社)といった著書が話題となる他、現在は週刊ポスト誌上にて「噺家のはなし」連載中。最新刊に『落語評論はなぜ役に立たないのか』(光文社新書)がある。
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恩田えり(おんだえり)
1971年、東京都出身。日本大学法学部卒業。会社員経験後、国立劇場伝統芸能伝承者養成機関・寄席囃子コースにて学び(第11期卒)、現在は落語協会所属の寄席囃子奏者として活動中。都内五か所ある寄席の袖で寄席囃子を弾き、寄席芸人を裏方として支える。他にも、高座での「実録シリーズ」、単独寄席囃子講座、無声映画伴奏、ブラジルへの武者修行、春風亭百栄とユニットを組んでのM-1挑戦など、掟破りの行動派。趣味は、映画鑑賞、プロレス観戦、草野球など。
ブログ「恩田えりのよせばやし子の一日」: http://yosebayasi.exblog.jp/
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