お血脈

地獄の沙汰も…？　（落語随談付き）

【あらすじ】
むかし、お釈迦さまが閻浮檀金（えんぶだごん・伝説上の美しい砂金）でできた一寸八分の仏体に身を変えて日本に仏教を広めにきますが、仏教に反対する守谷の大臣（おとど）によって難波の堀江（のちの阿弥陀が池）に投げ込まれてしまいます。長い間誰も近づきませんでしたが、本田善光という者がこれを掬い上げ、信州へお連れしました。これが信濃の善光寺の始まりとされています。さてこの善光寺では、お金を納めて額に「お血脈の御印」を捺してもらうと罪障消滅して極楽へ行けるというので、たいへんに賑わいました。これで困ったのが地獄です。御印をいただいてみな極楽に行ってしまうので地獄は閑古鳥が鳴くようになってしまいました。財政困難で鬼も栄養不足のありさま。そこで「見る目嗅ぐ鼻」という鬼が、だれかに御印を盗み出させてはいかがと閻魔大王に申し上げます。

【聴きどころ】
泥棒に指名されるのは、なんと地獄にきている石川五右衛門。ちょうど衝撃の首相辞任が世間を騒がせていたころの収録。時事問題をクスグリに入れて噺をふくらませる扇辰師匠の工夫が聞きどころです。

【もうひと言】
「血脈」は極楽往生のパスポートというわけではなく、もともと仏教で師から弟子に相伝されるしるしのことをいいます。

[収録：2007年9月22日　扇辰日和（東京・なかの芸術小劇場）]

《携帯電話・スマートフォン（iPhone、Xperia等）、通信機能内蔵タブレット（iPad、GALAPAGOS等）、通信機能内蔵音楽プレーヤー（iPodTouch等）等へは「ダウンロード及び保存」はできません。お手数ですがパソコンでダウンロード後、お手持ちのデバイスへ同期頂き、お楽しみください。》