古典落語
粗忽長屋
価格:¥550
おれが死人で死人がおれで(落語随談付き)
【あらすじ】
ある朝、男が浅草の観音様へお参りをすませると、なにやら人垣ができています。かき分けて前へ出ると、それは行き倒れでした。顔の確認をたのまれた男は「あっ」と思います。となりに住む熊に違いありません。身寄りのものに知らせるように言われますが、かなしいかな熊は天涯孤独の身。ならば“本人”を連れてくるのが一番だろうと、男は長屋に飛んで帰ります。熊は熊でそうとうのおっちょこちょい。男に「おまえは酒にあたって死んだんだ」とさとされるうちに、だんだん自分は死んだような気になってきました。男は熊を連れて人垣に戻ります。最初はいぶかっていた熊も、倒れた男の顔を見て自分だと納得し、泣き崩れてしまいます。
【聴きどころ】
おっちょこちょいのうっかりものは落語登場人物の定番です。しかし行き倒れを見て現に生きている人間を死んでいると思ってしまうとは、本作の登場人物は粗忽のなかの粗忽といっても過言ではないでしょう。そんな過度な粗忽がウリの本作は全編にわたってナンセンスが貫かれています。そしてありえない話に「ひょっとして」と思わせるような、一抹のリアリティを与えているのが喜多八師のテンポの良さなのです。
【もうひと言】
もうひとりの自分とその死とくれば、どこかドッペルゲンガー現象を思い起こさせます。ナンセンスを極めた噺にもかかわらず、笑いの中にふと「自分とは何なのか」という思いを含ませる、ちょっぴり哲学的な香りのする落語でもあります。
[収録:2007年10月9日 文鳥舎(東京・三鷹)]
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プロフィール
柳家喜多八
学習院大学卒業後、1977年に柳家小三治に入門、前座名は「小より」。81年に二つ目となり、「小八」に改名、93年に真打昇進、喜多八と改名した。滑稽話から大作まで自在自在に操り、小三治の懐刀とも評される実力派。とぼけた、愛すべき雰囲気が持ち味だが、侍の描写など気品にあふれると評判が高い。とにもかくにも将来を嘱望される逸材の一人である。モットーは「清く、けだるく、美しく」。趣味はサイクリングに墓参、宝塚とバリエーション豊か。
本名・林寛史、1949年、東京都生まれ。落語協会所属。
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このアーティストの作品(全30件)
試聴 | タイトル | 出演者名 | 価格 |
---|---|---|---|
ラブレター |
柳家喜多八 | ¥550 | |
盃の殿様 |
柳家喜多八 | ¥733 | |
鰻の幇間 |
柳家喜多八 | ¥733 | |
百川 |
柳家喜多八 | ¥733 | |
火事息子 |
柳家喜多八 | ¥733 |
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