妾馬

どっか行こうか、おい殿公！　（落語随談付き）

【あらすじ】
赤井御門守に見初められお屋敷で奉公しているおつるが、世継ぎの男の子を出産して、兄の八五郎がお屋敷に招かれます。がさつな八五郎の粗相を心配する大家さんが「言葉の上に“お”、最後に“たてまつる”をつければ間違いない」と忠告するものの、八五郎はお屋敷でも重役の田中三太夫を 「さんちゃん」と呼んだりして相手をあきれさせます。殿様の前でていねいにしゃべろうと、自分でも何をしゃべってるのかわからなくなる八五郎は緊張したあげく、空きっ腹に酒を勧められ、酔いが回って都々逸を歌い出します。

【聴きどころ】
博打好きで酒飲みの江戸の町人・八五郎と地方出身の武家屋敷の武張った面々。両者のかみ合わないやりとりが噺の聴きどころです。町人が武士の前でも卑屈にならないのは、雲助師匠の気っぷのいい話しぶりとあいまって気持ちのいいものです。妹のおつるを目の前にして八五郎がほろりとする場面は、人情話に傾きがちですが、もともと「落とし噺が好き」という雲助師匠はさらりと描きます。師である十代目金原亭馬生、そして大師匠に当たる古今亭志ん生の話しぶりを思い出させます。

【もうひと言】
題名「妾馬」は、取り立てられて侍になった八五郎が、馬を御すことができないでいるところに、同役が「いずれへおいでなさるか」と声をかけると、八五郎が「前へ回って馬に聞いてくれ」というサゲ（妾の兄が妹のおかげで馬に乗る）から来ていますが、省略されることが多いようです。「八五郎出世」という題で演じられることもある古典落語の十八番です。

〔収録：2007年8月10日　東京・Again〕

《携帯電話・スマートフォン（iPhone、Xperia等）、通信機能内蔵タブレット（iPad、GALAPAGOS等）、通信機能内蔵音楽プレーヤー（iPodTouch等）等へは「ダウンロード及び保存」はできません。お手数ですがパソコンでダウンロード後、お手持ちのデバイスへ同期頂き、お楽しみください。》