古典落語

つる

価格：￥733

収録時間 :: 23:25
データ形式 :: MP3
データ容量 :: 21.4MB

提供元 :: 株式会社ラジオカフェ
リリース日 :: 08年10月17日
カテゴリ :: 古典落語

ご隠居、焦る。（解説付き）

【あらすじ】
八つぁん、ご隠居のところに遊びに来て、「どうして鶴が日本を代表する名鳥なのか？」を聞きに来ました。ご隠居は「寿命が長くて、操が正しくて、姿がいい鳥だからだ」と教えてくれます。ところが「鶴はもともと鶴とはいわなかった。“首長鳥”といった」という話を聞いて、八つぁんは「じゃあ、なぜ鶴っていうようになったんです？」と食い下がります。ご隠居は「では教えてやろう。昔一匹のオスの首長鳥が“つー”と飛んできて枝に止まった。その後にメスの首長鳥が“るー”と飛んできて枝に止まった。だからあの鳥を“つる”というようになっただよ。はっはっは……」となんだか怪しげな説を教えてくれます。語尾をごまかしているようです。でもそんなことに頓着しない八つぁん、友達の前で語源講釈をしたくなってきました。

【聴きどころ】
語源を題材にした、この手の「根問もの」では、ご隠居はちゃんとものを知っているわけではなく、偉そうに無理矢理押し通してしまうのが常ですが、この噺ではご隠居は実はよく知らないことに自覚的です。白酒師匠はこのごまかしの照れ笑いを強調して、微妙な笑いを作り出しています。多く前座さんが演じる噺ですが、畳み込むような口調で、スピード感のある口演に仕上げています。

【もうひと言】
だれかに教わった話をオウム返しに繰り返して失敗する典型的な噺です。それがもともとデタラメだからタチが悪い。他愛のない噺というと、それまでなのですが、シンプルなだけに、噺のごまかしはききにくいかもしれません。これも昔は上方ネタ。寛政元年（1789）刊の「炉開噺口切」に見られるということです。

[収録：2008年8月23日　お江戸日本橋亭（東京・三越前）]

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プロフィール

桃月庵白酒

落語家

1992年、五街道雲助（六代目）に入門。前座名「はたご」を名乗る。愛嬌のある顔と滑らかな口跡で頭角を現し、95年に二つ目に昇進。「喜助」と改名する。05年に若手落語家を対象とした林家彦六賞を受賞。同年9月、真打昇進を機に三代目「桃月庵白酒」を襲名した。特に女性の艶やかさ、内に秘めた芯の強さを巧みに演じ、高い評価を得ている。得意ネタは「木乃伊取り」「臆病源兵衛」「代脈」など。また若手落語家5名による「五人廻しの会」など、多くの会に参加する一方で、自転車愛好家として寄席までサイクリングを楽しんだり、作務衣を収集するなど趣味も多彩。本名・愛甲尚人、1968年、鹿児島県生まれ。落語協会所属。