ゴーゴリー「鼻」1　（朗読：柳家三三　翻訳：浦雅春）

消えた鼻はいずこ？　荒唐無稽な物語のはじまりはじまり

【朗読】　柳家三三　(落語家)
【原作】　ニコライ･ゴーゴリ　(小説家)
【翻訳】　浦雅春　(ロシア文学研究者)

【あらすじ】
ある朝、ペテルブルグの床屋イワン・ヤーコヴレヴィチが朝食のパンを食べていると、中から出てきたのは人の鼻でありました。その見覚えのある鼻は、お得意さまの八等官コワリョフの鼻に相違ありません。恐ろしくなったイワン・ヤーコヴレヴィチは鼻を捨てに出かけます。一方、鼻をなくした八等官コワリョフは、町で、あろうことか自分の鼻と遭遇します。なんと鼻は立派な制服を着て馬車に乗っているではありませんか。コワリョフは鼻に向かって「あなたは私の鼻なのです」と主張しますが、まったく相手にされません。困ったコワリョフは新聞社に出かけ、鼻を捕まえた者に賞金を出すと広告を打とうとするのでした。

【聴きどころ】
焼き立てのパンの中から鼻が出てくるのも不思議なら、鼻が制服を着て歩いているのも摩訶不思議。しかもその鼻と、その持ち主が会話をするなんて……。しかしこうした荒唐無稽な描写こそ、落語をはじめとする「語り」の得意とするところなのです。浦雅春氏の“落語調”の訳と、三三さんの軽妙な語りが、難解と思われがちなゴーゴリ作を、ぐぐっと身近なものにしています。落語とロシア文学の意外な相性の良さをお楽しみいただける一編です。


この作品は光文社古典新訳文庫『鼻／外套／査察官』からの朗読と、翻訳者自身によるエッジの立った解説付です。

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