エコ時そば

必聴！　解体される「時そば」（解説付き）

【あらすじ】
振り分け荷を担いで町内を流して歩く二八そばの屋台。ある客がやたらとそば屋の機嫌をとっています。注文してすぐそばが出ると「江戸っ子は気が短いんだ、こうでなくっちゃ」、割り箸、どんぶり、ダシからそばの細さに至るまで大げさに誉めまくります。さて勘定は十六文と決まっています。ところが、一文銭を「ひい、ふう、みい」と数えながら一枚ずつそば屋の手にのせながら、なぜか八枚数えたところで「今なんどきだい？」とそば屋に聞きます。「へえ、九つで」の返事に「とお、じゅういち……」と一文ごまかしてさっと行ってしまいます。これを脇で見ていた間の抜けた男、少し考えてようやくこのごまかしに気がつき、自分も真似しようと思い立ちます。翌日の夜つかまえたそば屋は江戸っ子ではなく、なんと佐渡島の生まれでした。「地球にやさしい」そば屋を目指しているというのですが……。

【聴きどころ】
白鳥師匠が得意とする、古典落語をアレンジしたネタです。佐渡島出身でエコロジーを唱えるという異色そば屋の登場です。しかしその実態は、どんぶりは建設会社のヘルメット、箸は骨拾いの鉄の箸です。肝心のそばは産業廃棄物のような恐ろしいもの。時事ネタなどのくすぐりもふんだんに取り入れられ、笑いっぱなしになることまちがいなし。座布団を使ってそば打ちを演じる前代未聞ぶり（音から想像してください）。サゲも佐渡島にひっかけた師匠オリジナルです。江戸小咄から続く、誰でも知っている噺を完膚無きまでに解体するさまは必聴！

【もうひと言】
「時そば」はラジオデイズにも複数の音源があります。ぜひオーソドックスな演出と聴き比べてみてください。白鳥師、大学時代は落語とは一切関係なく、童話絵本研究会と空手部に入っていたという変わり種です。それが登場人物たちの力の入った間抜けぶりに投影しているようでもあります。

[収録：2009年2月25日　西新宿ハーモニックホール（東京）]

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