明烏

お堅い若旦那の一夜の首尾は　（落語随談付き）

【あらすじ】
田所町三丁目、日向屋半兵衛の息子、時次郎は二十歳になるのに遊びも知らずお堅い一方。心配した父親は時次郎を「町内の札付き」源兵衛と太助に託します。そうとは知らない時次郎はふたりに「浅草の裏手にある〈お稲荷さん〉にお参りに行こう」と誘われてついて行きますが、遊女を目の当たりにしてさすがに吉原に来たことに気付き、「帰る」と駄々をこね始めます。源兵衛たちがなんとかなだめてお座敷に連れて行きますが、宴の騒ぎをよそに部屋の隅っこで涙ぐむ時次郎。浦里という若い遊女がお相手を務めることになりましたが、さて一夜の首尾は……。

【聴きどころ】
この噺は、吉原の大門の見返り柳のこと、大店に上がるにはお茶屋を通さなければいけないこと、など「吉原ガイド」にもなっています。もとは新内節の明烏后正夢（あけがらすのちのまさゆめ）で、そのはじめの部分を独立させたものとのことです。新内では時次郎と浦里は深い仲になっていきます。どこまでも生真面目なおぼっちゃんの時次郎と、「働かずに人のお金でお酒ばかり飲んで」時次郎を吉原に引っ張り込む「町内の札付き」源兵衛、太助とのやりとりが愉快です。

【もうひと言】
有名な八代目桂文楽のバージョンでは「朝の甘納豆」がなんとも可笑しいものでした。遊雀師匠は「でも布団の中では花魁があたしの足を押さえて……」などの艶っぽい描写、またお茶屋の女将（御稲荷様の「お巫女頭」というふれこみ）、女郎屋のおばさんなどを細かく描いて、独自のおかしみを出しています。

〔収録：2007年5月18日　東京・Again〕

《携帯電話・スマートフォン（iPhone、Xperia等）、通信機能内蔵タブレット（iPad、GALAPAGOS等）、通信機能内蔵音楽プレーヤー（iPodTouch等）等へは「ダウンロード及び保存」はできません。お手数ですがパソコンでダウンロード後、お手持ちのデバイスへ同期頂き、お楽しみください。》